主要121社調査  AI導入は47% 効率化へ研究進む 

2018年1月16日

国内の主要企業121社を対象に、毎日新聞が人工知能(AI)の活用状況を尋ねるアンケートを実施したところ、5割弱が一部業務で既に導入していると回答した。具体的な導入予定がある企業と合わせると7割近くに達した。人手不足が進み、長時間労働の是正も求められる中、業務効率化のための導入が今後も広がりそうだ。専門家は「人の仕事の一部はAIに代替されていく」と予想している。

昨年12月に景気アンケートとともに実施した。業務を一部でもAIに置き換えているか聞いたところ、33社(27%)が「既にあり、さらに拡大予定」と回答。導入実績が「ある」とだけ回答した24社(20%)と合わせると47%に達した。「具体的な導入予定あり」は24社(20%)。残りは無回答や「その他」「導入予定なし」だった。

具体的な導入例を尋ねたところ、社内外からの問い合わせ業務での活用が目立った。三井住友フィナンシャルグループは、傘下のSMBC日興証券で、無料通信アプリ「LINE(ライン)」を使って口座開設方法や株価、投資信託の銘柄に関する問い合わせにAIが答えるサービスを導入。系列の三井住友銀行は、顧客からの電話の問い合わせをAIが文字化し、回答候補を担当者に示している。

三菱電機とキリンホールディングスは、大量退職が迫るベテラン社員のノウハウを引き継ぐ研究にAIを活用する。精密光学部品の組み立てや、ビールの製造過程で生かされている熟練の技術を再現させる。

人数を示して人員削減効果を回答したのは3社だけだった。大日本印刷は印刷物の不良のチェックなど一部業務をAIに代替させ、20人相当の業務削減効果があったとしたが「余剰人員は他部署に回す」と説明した。保険大手はAI活用による削減効果を数十人、三井物産も数人とした。一方で削減効果の有無を回答しない企業も多かった。

野村総合研究所の岸浩稔主任コンサルタントは「企業はAIによる業務効率化は進めざるを得ない。営業の交渉、企画の立案など、コミュニケーション能力や発想力を持った専門性の高い人材が重要となる一方、デスクワークは減少し、一部の人の仕事はAIに代替されるようになるだろう」と話した。【岡大介、宮本翔平】

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