第2期キャンプ第7回目のメンターは、自動車業界の新技術や環境問題などを中心に取材を続けるモータージャーナリストの川端由美氏をお招きした。
川端氏は大学院で工学を修めた後、エンジニア、自動車雑誌編集部員を経て、自動車ジャーナリストに。海外のモーターショーや学会も積極的に取材する国際派だ。カー・オブ・ザ・イヤー選考委員やインターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考員をつとめた他、官公庁の有識者委員なども歴任している。
これまで自動車産業はトヨタやフォルクスワーゲンなどのメーカー各社を頂点としたピラミッド型の組織構造になっており、自動車はメーカーの意向に沿って開発が進められてきた。ところが、自動車にインターネット通信機能を付けることで安全性を高めたり、運転を効率化するための様々なデータを収集・分析して利用者に提供する「コネクティッドカー」の開発を各社が競うようになると、インターネット分野に強い他業種の参入などによって強固なピラミッド構造も崩れる可能性が出てきた。
さらに、コネクティッドカーだけでなく、自動運転技術や電気自動車など新技術の開発競争が激化しているため、川端氏は「自動車業界は最後に残されたイノベーションの宝庫であり、スタートアップを含めてビジネスチャンスは無数にある」と指摘。そのうえで、「自動運転のOSは“一強”になるだろうけれど、自動運転でヒマになった時に楽しむアプリなど、『あったらいいな』という部分がものすごいチャンスが転がっているはず」と分析した。
とはいえ、自動車メーカーの存在感はまだまだ大きく、スタートアップ企業がこうした大企業と競争したり、飲み込まれないように協業を進めるためには「半年でもいいから、一歩進んだ技術を開発し続ける覚悟が必要だ。技術開発が好きで、多少は寝ないでも頑張れるような人が2~3人は必要だ」とアドバイスを送った。
〈第2期キャンプ〉第7回メンター モータージャーナリスト 川端由美氏
2018年7月18日