毎日新聞社、メディアドゥ、ブロードバンドタワーの3社が設立する「毎日みらい創造ラボ」は10月5日、第6期のシード・アクセラレーション(起業家支援)プログラムを受講した5チームとオブザーバー1チームによる3カ月の成果報告会「DEMO DAY」をオンライン開催しました。
採択5チームを対象に、審査員の採点と視聴者の投票により選ばれたグランプリには、音声認識を活用した翻訳動画SNSで海外求職者の面接を支援するGlobal Ride(グローバルライド・東京都)が輝きました!
協賛・フューチャー社の井上拓ビジネスデザインディレクターより賞金が、銀座テーラーグループの鰐渕美恵子会長より副賞の高級スーツお仕立券が贈られました。グローバルライドの倉賀野穣代表は「動画でのコミュニケーションが当たり前の時代をつくりたい。コロナ禍で暗い社会をベンチャーの強い力で変えていきたい」と抱負を語りました。
グランプリを獲得し、フューチャー社の井上拓ビジネスデザインディレクター(右上)から賞金を、銀座テーラーグループの鰐渕美恵子会長(下)から副賞を授与される「グローバルライド」の倉賀野穣代表
アガルート社による特別賞(アガルート賞)には5チームに加え、オブザーバーの1チーム、ゲスト参加した1期OBら3チームの計9チームが審査対象に。選ばれたのはナス由来成分を活用したヘルスケア事業に取り組む信州大発ベンチャーのウェルナス(東京都・小山正浩代表)で、アガルート社の岩崎北斗社長から特別賞が贈られました。
特別賞を受賞し、アガルート社の岩崎北斗社長(左)から賞金を贈られるウェルナスの小山正浩代表
第6期のプログラムはオンライン開催
第6期の採択チームは、グローバルライドのほか、LifeView(ライフビュー・東京都・経営人材育成型の事業承継サービス)▽ArsHub(アルスハブ・楽曲所有権をブロックチェーン上で販売するプラットフォーム構築)▽あんき(名古屋市・老人ホームなどの食事を高齢者に配送し、食の選択肢を増やすサービス)▽MariCare(マリケア・千葉県我孫子市・海上自衛隊の訓練ノウハウをいかした女性活躍支援)――の5チームでした。
オブザーバーとして参加したGATARI(ガタリ・東京都・拡張現実技術による音声配置アプリ開発)も登壇しました。(詳細は後述)
プログラムは新型コロナウイルス感染拡大防止のため、初めて全面オンラインで実施。全国から集まったメンバーらとともに、ウェブ会議システムを使って実業家や起業家から助言を受けながら、7月から3カ月にわたり事業アイデアをブラッシュアップしました。DEMO DAYも第5期に引き続きオンライン開催し、計約100名が視聴しました。
DEMO DAYには第1期OBのウェルナスに加え、VENTUS(ヴェンタス・東京都・電子トレーディングカード購入によるスポーツチーム支援サービス)も参加。ゲスト招待されたShoeber(シューバー・神戸市・高級革靴の再生と中古品販売事業)とともに、展開する事業内容を披露しました。
1期OB・ウェルナス(小山正浩代表)
SHOEBER(村上友哉代表)
1期OB・ventus(梅澤優太代表)
各チームのプレゼンテーション要旨
<第6期採択チーム>
■(株)LifeView(ライフビュー) 代表:寺方良平さん
日本の経営者は高齢化が進んでおり、今後10年で約127万社の経営者が不足します。企業のバリューアップ施策と事業承継(M&A)を一体化したマッチングプラットフォーム「RunUp」で適切な事業承継を支援し、後継者問題の解消に寄与します。経営人材育成型のサービス展開で事業承継が当たり前な世の中にし、この取り組みで世界をリードします。
②ArsHub(アルスハブ) 代表:篠田虎彦さん
音楽ストリーミングの台頭で楽曲の薄利多売が常態化しています。アーティストや音楽クリエイターに利益を還元するため、楽曲の所有権をブロックチェーン上で販売し、音楽をアートのように限定流通させるプラットフォーム「Cybereum(サイベリウム)」を開発します。プラットフォーム上で楽曲を転売することで、アーティスト自身の経済圏を構築することができ、楽曲の価値も高まります。
③(株)あんき 代表:稲生優介さん
高齢者配食サービスは効率重視の工場生産、日替わりでメニュー選択できないなど利用者からの不満が多い。老人ホームや飲食店のおいしい食事を届けることで、高齢者の食の選択肢を増やし、施設・飲食店の販路開拓を担います。いつまでも、どこでもおいしいご飯を食べられる社会をつくり、将来的には高齢者の生活サービス全般にもビジネスを広げます。
④(株)MariCare(マリケア) 代表:富江桃華さん
月経は女性の仕事のパフォーマンスに影響を与えます。月経を加味した女性の強い身体づくりを実現する海上自衛隊の養成メソッドで、企業に勤める女性の強い体づくりをサポートし、体調不良による業務遅延防止や生産性向上に貢献します。高栄養&高エネルギーな食事や適切な運動、睡眠など、女性社員の個別症状にあったアドバイスを提案し、強い組織づくりに貢献します。
⑤(株)Global Ride(グローバルライド) 代表:倉賀野穣さん
音声認識を活用した翻訳動画SNSで、海外の休職者と企業を結び面接を支援します。動画名刺、AIを使った求職者と企業のマッチング、発言内容を自動翻訳する面接ルームの3機能で場所や言葉の壁を越え、世界中どこでも働ける社会を目指します。求人広告掲載やデータ利活用でマネタイズを図っていきます。
<第6期オブザーバー>
■(株)GATARI(ガタリ) 代表:竹下俊一さん
現実世界とデジタル世界を一緒に映す「AR Cloud」技術を活かした音声配置アプリ「Auris」を提供しています。位置情報を利用しデジタル上に音声データを埋め込むことで、既存の施設設備に一切干渉せずに空間の価値を高め、デジタル世界を構築できます。まるでゲームの主人公になったような体験が得られる、日常と物語が溶け合う世界をつくります。
6期オブザーバー参加・GATARI(竹下俊一代表)
ラボ設立3社の社長陣からの講評
■藤田恭嗣・株式会社メディアドゥ代表取締役社長CEO
ゲストピッチをしたヴェンタスの梅澤優太代表が「成り上がっていく文化」と発言していましたが、これは皆さんがこれから頑張っていく上で非常にいいキーワード。コロナ禍からの経済のV字回復は難しく、今後生活スタイルやビジネスモデルは根底から変わり、今までの常識が通用しない社会状況になるでしょう。「成り上がっていく文化」という想いをしっかり持って、頑張ってほしい。
■藤原洋・ブロードバンドタワー代表取締役会長兼社長CEO
コロナ禍で社会課題を解決する手段が加速したと同時に、健康と経済をいかに両立するか、という焦点が浮き彫りになりました。ライフサイエンスとデジタルテクノロジーがひとつのカギを持っています。皆さんの起業家精神が2つの課題の両立を垣間見せてくれました。実現にはスピリットにくわえ、事業計画の実装が必要になる。みらい創造ラボでできたネットワークをフルに活用し、夢を実現してほしい。
■丸山昌宏・毎日新聞社代表取締役社長
コロナ禍のため、今期はすべて面談やメンタリングがリアルでできないという状況で実施しました。しかし全員が素晴らしい発表をし、コロナで苦しんでいる経営者として勇気づけられました。ピンチはチャンス。コロナ禍でチャンスの場が広がったと前向きに捉えて、古い企業を打ち負かしていってください。
毎日みらい創造ラボでは、引き続き未来を担う起業家の発掘支援や、オープンイノベーションを促進してまいります。どうぞご期待ください。
第6期DEMO DAYの登壇チームと審査員・スポンサー各社様