東京海上日動火災保険は、取引企業に対し、バーチャルリアリティー(VR)技術を活用して物流倉庫の中などを疑似体験できる安全教育ツールの提供を7月から始める。臨場感ある映像で現場のリスクを知ることで、事故の未然防止に役立ててもらう。
東京海上日動は、契約先企業へのサービスの一環で安全教育を実施してきたが、これまではテキストや写真を使った座学が中心だった。同社によると、通信販売の増加や人手不足を背景に物流業界では1人あたりの仕事量が増え、それに伴って事故や保険金の支払いも増えている。現場での実地研修は作業を止めて行う必要があるなど制約も多く、より効率的な研修の必要性が高まっている。
研修に際して、まず360度カメラで依頼のあった企業の作業現場を撮影する。研修参加者は、ゴーグルを装着して撮影したVR映像を見ながら、他の研修参加者と危険箇所などについて議論し、物流事故に詳しい講師からアドバイスも受ける。テレビなどの平面画像より音や光景がリアルに感じられるため、より高い教育効果が期待できるという。
スーパーの店舗などでも利用可能と見ており、同社担当者は「さまざまな業種で普及させたい」としている。【竹下理子】
【VR】広がる利用先 物流業界、現場の危険を学ぶ
2018年6月28日