ビットコイン エジプトで禁止に理由は「イスラムに反する」

2018年1月17日

【カイロ篠田航一】エジプトのイスラム教最高指導者シャウキー・アラム師は今月に入り、仮想通貨の代表格としてインターネット上でやり取りされる「ビットコイン」について、「投機性が高く、イスラム教で禁じる賭博に似ている」として取引を禁じるファトワ(宗教令)を出した。政府系紙アルアハラムなどが伝えた。

ビットコインは2009年ごろからネット上で流通し、日本でも取引が盛ん。価格は日々変動し、民間の販売所などで購入して市場で取引できる。ドルや円など通貨との交換レートが変動するため、利益を見込んで投資目的でも売買される。中央銀行などの管理者が存在せず、外国送金も安い手数料で瞬時にできるメリットがある一方、マネーロンダリング(資金洗浄)への悪用も懸念されている。

イスラム教の聖典コーランは「賭博は悪魔の業で、敵意と憎悪をあおり立てる」と戒めている。アラム師はビットコインが「ギャンブルに類似」しており、イスラムの教義に反すると判断。経済専門家と協議の末、禁止を決めたと説明した。
一方、ビットコインは中央銀行を介さない取引のため、アラム師の側近の一人は「直接、テロ組織に送金される」とも警告しており、中東で頻発するテロ対策との見方もある。

アラム師は、シャリア(イスラム法)の解釈や適用について判断するエジプトのイスラム教最高権威者「大ムフティ」で、イスラム教徒が多い地域では国ごとに大ムフティが存在する。

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