【5期】Link Sports代表・小泉真也氏が、“PMF”の実際を語る

いよいよ毎日みらい創造ラボ第5期チームの成果発表会「DEMO DAY」(3月6日13時~)まで残り1か月。創業から間もない採択5チームは、「プロダクトマーケットフィット(PMF=Product Market Fit、市場顧客に自社の製品やサービスが受け入れられている状態)」に近づけるべく、日々プロトタイプやベータ版を通じたユーザーとの対話・インタビューで仮説検証を繰り返しています。

その中で、2月5日の特別メンタリングでは、スポーツチームマネジメントツール「TeamHub(チームハブ)」などを提供する「株式会社Link Sports(リンクスポーツ)」の代表取締役・小泉真也氏が登壇。サービス開始後の途切れることなく顧客の反応や検証を繰り返す中で、急速に顧客数が増加し、PMFを達成したと思われる場面やそこに至る実際の施策について、余すところなく語ってくれました。



 Link Sports社は「すべての人に『動くきっかけ』を」をビジョンとしたスポーツテック・ベンチャーで、マネジメントツール「TeamHub」のほか、野球チームに特化したアプリ「PLAY」、選手を裏側で支えるキーパーソンなどの情報まで伝えるスポーツメディア「AZrena(アズリーナ)」を提供しています。
 メイン事業の「TeamHub」は、社会人・少年チームを中心に野球やサッカー、バスケなど様々な競技に対応し、100以上の種目のスコア入力に対応しているサービスですが、2016年のベータ版(※正式版の前に想定顧客・ユーザーに試用してもらうための限定試作)サービス提供開始から約1年半は、四半期で数百程度の微増でしか利用登録数は伸びていませんでした。しかし、2018年の3月から6月にかけて、それまでの利用チーム数(3000~4000)の4倍超となる1万4000チームにまで急拡大。その後も利用者は右肩上がりで伸び続け、昨年9月時点で利用者は4万5000チームを超える勢いで成長し続けています。

 小泉氏はこのPMFを達成したと思われる場面・瞬間について、「開発などにがむしゃらだったため、リアルタイムでは明確に達成実感を認識していなかった」と告白。他方、「実はそれまでメイン指標としていたKPIではなく、別の指標が急激に伸びていることに気づき始めていた時期で、それに注力し続けていることが今も伸びている要因」と語り、メンタリング受講生限定でそのKPIと、実際に取った対策を明らかにしてくれました。

 具体的手法はここでは明らかにできませんが、先輩起業家として小泉氏からは、5期生に向けてご自身としてのPMFの定義と以下の3点を普遍的に意識すべきメッセージを残して下さいました。
1)PMFを感じやすくするためには「ユーザーの声を直接聞く」
2)「新規」よりも、「代替から新規」を意識する
3)「シーズン」という要素も忘れずに

 ベンチャー企業の成長や企業内新規事業を含め、「PMF」という概念は知っていても、実際にPMFがどのような状態やKPI達成を指すのかの実態を学ぶ場面は多くありません。これから「市場に受け入れられる状態」を目指す採択5チームからは、数歩先を走る先輩起業家の実体験を知ることによる実業につながる良いヒントを得たとの感想が述べられていました。

【文・写真 中島和哉】

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