ワイン醸造学の世界的権威、ロジャー・ボルトン教授が日本のワイン造りで講演 東京・学士会館で

2018年4月19日

企業などと異文化を融合させる研究開発を推進する北海道大学COIは、16日、「科学がワイン産業にもたらす変化~日本のブドウ・ワイン産業の発展に向けて」(毎日みらい創造ラボなど共催)と題したシンポジウムを東京・千代田区の学士会館で開催した。
3部構成のシンポジウムで最初に登壇したのは、ワイン醸造学の世界的権威でカリフォルニア大学デービス校のロジャー・ボルトン教授。カリフォルニアの「Opus One」を世界的なワインに成長させた立役者として知られるボルトン教授は「The Science of Win」と題した講演で「ワインのさまざまな分析に化学的知見が活かされている一方で、アロマやフレーバーは化学でも予測不能であり、今後は人間の感じ方の研究も必要である」と指摘。また、日本のワイン造りや日本食との関係性について、「日本で研究すべきであり、そのためにも日本のワイン研究者や醸造家などによる研究ネットワーク構築が重要だ」と語った。



続いて登壇した「ココ・ファーム・ワイナリー」(栃木県)でワイン醸造家として活動するブルース・ガットラブ氏は、「For The Future of Qualty Japanease Wine」と題して講演。米国出身で30年にわたり日本でワイン造りに取り組んでいるガットラブ氏はボルトン教授の愛弟子でもある。講演では「いまや日本には280ものワイナリーがあり、今後そのレベルを高めていくためには、ブドウやワイン造りに基礎的な化学を導し、調査、研究を重ねることが大切だ」と述べ、「調査、研究をサポートする体制が必要で、ブドウやワイン造りに関わる人々の全国組織の組成に踏み出すべきだ」と力説した。

最後に北大COIでスタートしたワイン研究の責任者でもある曾根輝雄教授が登壇し、北海道におけるワインの歴史や現状、北大の取り組みや研究テーマについて解説した。北大では、このようなワインをテーマにしたイベントを今後も続けて行く方針

○北海道大学COI「食と健康の達人」拠点とは文部科学省・科学技術振興機構が実施しているCOIプログラムの中の1拠点で、北海道大学が中心となり、約30社の機関・企業と異分野融合の研究開発テーマに取り組んでいる。テーマは、「健康ものさし」「セルフヘルスケア」「美味しい食と楽しい運動」「健康コミュニティ」の4つ。

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