痴漢の冤罪(えんざい)を防ぐサービス「痴冤証明(仮称)」を松山市のデザイナーらが考案し、開発した。スマートフォンのアプリと専用ブレスレットを使い、弁護士による免罪証明書が発行される仕組みだ。
このサービスの利用者は電車に乗車中、小型カメラ2個を内蔵したブレスレットを両手首に装着して手元周辺を撮影し続け、動画はスマホアプリを通じクラウドサーバーに送信される。万一、痴漢行為を疑われたら、アプリからサービスセンターに連絡し、センターが動画データを提携する弁護士に通知する。解析して冤罪が確認されたら、弁護士作成の「冤罪証明書」が発行され、利用者のスマホに送信される。「冤罪証明書」には弁護士の署名、位置情報、時間情報を記載したデータなどが記載されている。
なお、動画の悪用を防ぐため、利用者は録画した動画を閲覧できない。また動画データは警察に資料として提出することもできる。
「痴漢冤罪が怖いから、電車に乗らない」との取引先経営者らの声を聞いた大阪の会社員、三井俊吾さんが発案した。賛同した松山市のプロダクトデザイン事務所「リプルエフェクト」の社長でデザイナーの山田敬宏さん▽同市のIT企業「HBソフトスタジオ」社長でIT技術者の影浦義丈さん▽女子大学生の花本愛珠さんと下元理布さんらーーがチームを組み、ビジネスモデルを考え、アプリやブレスレットの試作品を作った。
この企画は、松山市で2017年11月10日に開かれた、新規事業の起業体験イベント「スタートアップウィークエンド」で優勝した。同25日の「ビジネスモデル発見&発表会 四国大会」でも「ビジネス賞」を受賞しており、3月2日の「全国大会」に出場する。
山田さんは「事業化を進め、保険業、警備保障業などと提携してサービスの展開を図りたい」と話している。サービス料は、機材レンタル料込みで980円(税別)を検討している。【高橋望】
【アプリ】痴漢冤罪防止サービス「痴冤証明」 機器も開発
2018年6月28日