【5期】「オンラインで全部できると勘違いしていた」PIAZZA矢野氏がコミュニティ/パートナー戦略を語る

IoT、AIなどの進展によってネットとリアルの境界が曖昧になる昨今、広く事業を進める上で鍵となる一つの概念に「コミュニティ」があります。特に日本のスタートアップシーンにおいても、核となるプロダクトと支えるユーザーとの関係だけではなく、創業者と社員・サポートエンバーといった組織・チーム領域においても「熱狂的コミュニティ」の存在が事業成長の行く末を左右する価値観が強まっています。


そこで、毎日みらい創造ラボの2月12日のメンタリングでは、初期の失敗の反省からプロダクト・組織両面においてコミュニティパワーとその可視化を図って成長を続けている先輩起業家としてPIAZZA株式会社」代表取締役社長・矢野晃平さんをお呼びし、コミュニティ戦略/パートナー戦略PMF(Product Market Fit:製品・サービスが市場に受け入れられている状態)についてお話しいただきました。


  「人々が支え合える街を創る」をミッションに掲げる同社の最大の強みは、「デジタルとリアルの融合」という軸を徹底した事業展開をしている点にあります。
 現事業の柱は大きく2点で、1点目は「PIAZZA」(ピアッツァ)という地域密着型SNSアプリを開発・展開する「デジタルコミュニティ事業」。2点目は、湾岸エリア最大級の子育て支援施設「グロースリンクかちどき」(東京都中央区勝どき)をNPO法人と共同運営する「リアルコミュニティ事業」です。
 創業から5年ですが、湾岸エリアの30~40代(特に女性)を中心に普及しているPIAZZAは、既に40人近い地域の「コミュニティマネジャー」を軸に約20エリア、10以上の行政・企業と協業で取引を行うまでに急成長しています。

 矢野さんはSNSを世に出した初期について、「オンラインで全部できると勘違いしていた。大いに失敗し、マネタイズもできずに人も辞め、2年目で倒産しかけた」と振り返ります。歴史的に同様の地域コミュニティツールがなぜうまくいかなかったのかを考えた結果、スケールよりも「コアバリュー(価値)」を作ることに注力するため敢えて地域を絞り、一見スケールが難しそうですが「これが価値の源泉になる」とリアルのコミュニティ施設も運営。体験とSNSデータの相関関係を分析し、リアルを使ったデジタル効率の最大化(レバレッジ)を意識しつつ、圧倒的な地域成功モデルを創ることに全力を注いできたと言います。
徐々に軌道に乗り始めた後は、「コミュニティという曖昧で評価できない概念を数値化」してさらにコア価値を高めるために、独自指標の開発に取り組んでいます(Community Value)。社内では「街づくりを科学する」というスローガンを掲げているとのことですが、矢野さんは「今はデジタルはあくまでリアルなコミュニティを作る入り口でしかないという発想に切り替えている。それをスコアリングという形でマネージ(管理)することでPDCAを回し、コミュニティを作る型を定める」とビジョンを語って下さいました。


なお、矢野さんは今ご自身が意識されているPMFについて、「自分自身も全く至っていないので・・・」と前置きした上で、プロダクトと組織という異なる“マーケット”に対しての見解を受講生へのメッセージとして残してくれました。
■プロダクトのPMFに向けて
 ・とにかく一次データしか信じない
 ・スケールは後回し → コア価値を作る
 ・データで判断して、施策をやりきる
 ・マネタイズを早めて悪いことはない

■組織のPMFに向けて
 ・ミッションの言語化
 ・カルチャーーフィットの採用
 ・時間の管理を徹底。メンタルも大事
 ・社外もレバレッジ
5期メンタリングもいよいよ後半。2週続けて熱量の高い起業家にも触れ、受講生がメンターに問う内容も精度が上がり、3月6日のDEMO DAYの期待も高まってきました。

〈文・写真 中島和哉〉


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