九州大「起業部」発第1号ベンチャー 病理画像診断ソフトを開発

 学生ベンチャーを育成する九州大(福岡市)の部活動「起業部」から、第1号となるベンチャー企業「Medmain(メドメイン)」が誕生した。病理画像診断ソフトの開発を手掛ける会社で、社長の医学部4年、飯塚統(おさむ)さん(26)は「2年以内に製品化し、九大発のベンチャーとして世界展開を目指したい」と意気込んでいる。【山下俊輔】

 メドメインは飯塚さんら九大生4人の他、外部のデザイナー2人がメンバーで、11日に設立した。研究に必要なデータ解析でプログラミングの技術を身につけた飯塚さんが、現在医療ソフトがない画像診断の分野に着目し、昨夏に大学に発足した起業部に所属して開発に取り組んだ。昨年11月に米シリコンバレーであったビジネスプランのコンテストで優勝し、事業化できるとの確信を持った。

 飯塚さんらが構想する病理画像診断ソフトは、患者の細胞を観察してがんなど病気の有無を診断する病理医の仕事を担う。ディープラーニング(深層学習)という手法でAI(人工知能)に大量の病理画像を学習させ、そのデータを使って病理診断する仕組み。病理医は全国的に不足し、市中の病院が診断を大病院に依頼すると、結果が出るまでに数週間かかる。ソフトがあれば、どの病院でも診断でき、結果も5分で得られるという。

 類似ソフトの開発は日本や米国、韓国の数社で進んでいる。メドメインは九州大医学部、九州大病院と共同開発しており、大量の画像データを使える。九州大が今月から運用を始めた国内トップクラスの演算能力を持つスーパーコンピューターシステムも利用でき、開発競争に勝ち抜くことを目指している。

 資金調達などについては起業部顧問の熊野正樹准教授らからアドバイスを受ける。社名は医学を表す「Med」とネットワーク領域を表す「Domain」を組み合わせたもので、飯塚さんは「5年以内の上場を目指したい。病理診断の迅速化は患者の命を救うことにつながる」と話している。

 熊野准教授は「グローバルに活躍する大きな会社に成長し、社会に貢献してほしい」と期待を寄せる。