毎日みらい創造ラボ

毎日イノベーション・フォーラム 起業家創出セッション

起業家創出セッションでは「2020年に向け、ベンチャーが日本経済の牽引(けんいん)役になるためには~シリコンバレー、シンガポールの潮流から~」をテーマに起業家、投資家が議論を交わした。参加したのは、化粧品の口コミサイト「@コスメ」を運営するアイスタイルの吉松徹郎社長▽ソフトウェアの開発や販売を手掛けているインフォテリアの平野洋一郎社長▽「クラウド型タクシー配車システム」を開発し全国のタクシー会社に提供している電脳交通の近藤洋祐社長の起業家3人。進行役を日本テクノロジーベンチャーパートナーズの村口和孝代表が務め、米シリコンバレーで投資と事業開発を行っているSVフロンティアの鈴木陽三社長も中継で議論に加わった。

◇村口氏 「船に乗るのではなく、潮に乗れ」

大学卒業後、優秀な学生ほど官僚になったり、大企業に就職することが多い日本。徳島の沿岸部の町の出身で、地元漁師から「船に乗るのではなく、潮に乗れ」と教わって育ったという村口氏は「日本はサラリーマンばかり。組織人ばかりの20世紀から、個人が個性を持って頑張り、それぞれがコラボするような21世紀にならないといけない。そのためには若い人がどんどん挑戦していく必要がある」と問題提起をした。

これに対して平野氏が「20世紀は大きい企業ほど大きな仕事ができる中央集権型社会だったが、21世紀は小さくてもつながることで大きな仕事ができる自立分散協調型社会になった」と指摘。東芝やシャープといった経営危機に陥った大企業を挙げ、「こうした企業の問題の根本は同じで、変化について行けない大企業がもうからなくなっていることにある。変化に耐える組織を提供し続け、世界に貢献したい」と意気込んだ。

◇吉松氏 ベンチャーが既存企業と共存するカギは「信用力」

また、議論は対立しがちな「ベンチャー」と「大企業」、「老舗」がどう共存していくか、地方での起業など、テーマは多岐にわたった。
ベンチャーと大企業、老舗との共存について、化粧品とITの組み合わせで成長した吉松氏は、あえて「インターネット」の部分を表に出さないように意識したという。その理由を「昔ながらのやり方をしている企業からすれば、私たちの存在が『破壊者』に映ることもある。あくまで業界を変革するパートナーであると思ってもらうように意識した」と説明。化粧品業界を一番理解しているテクノロジーの会社という業界内の立ち位置を構築してきたといい、「業界内にも『変わらないといけない』という気持ちはある。誰を信用すればいいか分からないだけなので、業界内の信用を高めていくことが大事だ」と述べた。
ITを活用して家業のタクシー会社を合理化し、培ったノウハウを他社に広げる会社をつくった近藤氏は、世界的な配車サービス会社となった「ウーバー」が「インドなど地元の交通機関が全く機能していないところでユーザーの圧倒的な支持を得たことで、各地域で標準化された」と地方でのビジネスモデルが成功した際の強みを強調した。【岡部恵里】