ものづくりベンチャー×町工場 試作品製作支援で協力

経済産業省は、「ものづくり」を手がけるベンチャー企業の製品試作を支援するネットワーク作りに乗り出す。製品のアイデアを持つベンチャー企業と、既存の町工場のものづくり技術を結びつける拠点「スタートアップファクトリー」を民間施設の中から選定し、2018年度から設備導入補助や人材育成支援を実施する。ベンチャー企業が、市販レベルの製品を試作する段階で事業に行き詰まる「量産化の壁」を解消する狙い。

 人工知能(AI)やロボットなどの技術革新が進む中、AIを搭載したスピーカー「AIスピーカー」などソフトと製品を一体化したビジネスが拡大している。こうした新たな技術のビジネス化には、柔軟な発想を持つベンチャー企業の役割が期待されている。

 国内では、ものづくりベンチャーの事業化を支援するため、印刷感覚で立体物を成形する「3Dプリンター」などをそろえた民間が運営する施設が生まれている。しかし、こうした施設では試作品を製造できるものの、市販レベルまで製品の完成度を高めるまでのサポート体制は十分整っていない。

 製品の安全性や耐久性を市販レベルに高めるには、設計、金型、成形、品質試験など平均約20社の協力が必要とされる。しかし、ベンチャー企業にはどの工場と取引すればいいか情報が不足しているほか、工場との商談で単価や納期について認識が食い違い、事業化に行き詰まるケースもあるという。

 一方、中国広東省・深センでは、製造メーカーが将来の受注を見越してベンチャー企業の開発支援を活発に行っており、量産化試作の世界的な拠点に成長している。東京・六本木で会員制のものづくり施設を運営する「テックショップ東京」の有坂庄一社長は「事業化を目指す会員に深センの企業から支援の声がかかっている。このままでは事業アイデアが海外に流出してしまう」と警鐘を鳴らす。

 そこで経産省は、ベンチャー企業の量産試作から市場投入までを支援する国内拠点作りを進める。民間運営のものづくり施設のなかから5カ所程度を選定し、製造設備の導入費や製造工程などに関する研修事業の2分の1を補助。町工場や大企業、ベンチャー向け投資会社などとの連携も促し、ベンチャー企業の事業化を支援するネットワークの要に育てたい考えだ。【中井正裕】