パソナ淡路島移転の狙いは?なぜ淡路島? 代表にインタビューしました!

パソナグループが淡路島に本社機能を移すーー。8月末に報じられたこのニュースを見て、「ついに来たか」と思いました。IT企業やスタートアップは夏ごろから地方移転の会社が増えていましたが、ついに大企業も、という印象です。

パソナ、本社機能を淡路島に移転へ 9月から段階的に 1200人対象

しかし移転は本社機能を担う従業員の3分の2にあたる1200人と大規模で、対象社員を「島流し」と見る意見も。豊かな生活と事業継続を考えての移転とのことでしたが、それにしてもなぜ淡路島か、他の選択肢は、など疑問はあふれるばかり。

「パソナアイランド」になる? パソナが本社を淡路島に移転

直接聞いてみないと分からない!ということで、移転を発案したパソナグループ創業者の、南部靖之代表にリモートインタビューしてきました!

記事は前編と後編に分けられ、毎日新聞ウェブサイトに掲載されました。前編を少し、こちらでご紹介します。(写真は記事とは関係ありません)


目次
◇島流しでなく「心の黒字」 パソナの子育て世代含む1200人が淡路島に移住する理由
◇新型コロナでオフィス分散「東京でなくてもいいな」
◇「東京じゃ豊かな安心した健康な体はつくれない」
◇「淡路島を地中海にあるようなリゾートに」
◇「中高生の子供を抱えた社員も“来たい”」


島流しでなく「心の黒字」 パソナの子育て世代含む1200人が淡路島に移住する理由 


 人材サービス大手のパソナグループが、主な本社機能を東京から兵庫県・淡路島へ移すと発表して1カ月余り。2024年5月末までに本社機能を担う社員の約3分の2、約1200人が淡路島に移住するという。なぜ淡路島なのか。社員たちは移れるのか。創業者でもある同グループの南部靖之代表(68)に、疑問をぶつけた。前編と後編に分けて紹介したい。

新型コロナでオフィス分散「東京でなくてもいいな」

 「淡路島で新型コロナウイルス禍のニュースを見ていて『これは大変だな』と。社内に1人陽性者が出ると、そのフロアは全部消毒して1、2週間使えない。数万人のスタッフの管理が滞ると大変なので、オフィスを東京駅周辺に分散した。その時、本社機能は『東京でなくてもいいな』と思ったのがきっかけです」

 9月28日、淡路島のオフィスでリモート取材に応じた南部代表は、自身が移転を決断した緊急事態宣言下の5月を振り返った。パソコンの画面越しに見えたオフィスの窓からは、青空とヤシの木が見えた。

 パソナが9月1日に島への移転を発表すると、<大企業の脱東京だ><社員は島流しか>と注目された。南部代表は決断を「100%社員とその家族のため」という。

 「(東京の)マンションや小さな家でずっと子供たちと過ごしながら仕事をすると、ストレスが高まる。その頃、親はテレワーク離婚、子供たちはオンライン学習で斜視が増える、80代90代の親は外出できずデイケアにも行けない、といったニュースばかり流れていました」

「東京じゃ豊かな安心した健康な体はつくれない」

 南部代表がゆっくりと言葉を区切って強調した。

 「東京じゃ、豊かな、安心した健康な体は、つくれないんです。特に、お年寄りと子供は。(パソナが)社員やスタッフと一つの事例をみせて、社会全体がそれに気づいてくれればいいなと」

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 パソナが淡路島に移す本社機能とは、人事や経理などの管理部門や、新規事業開発などを担当する部門だ。引っ越しを迫られる従業員は、本社機能を担う全従業員1800人の実に3分の2にあたる1200人にもなる。

 南部代表は「真に豊かな生き方、働き方」が目的だと力説する。そこで、真に豊かな生活とは何かと聞いてみた。

 「心の黒字ですよ。給料が高ければいい、売り上げ利益が大きければいい、一部上場会社ならいい、それは数字の黒字。そうじゃない、心の黒字が、豊かな生活ということ。自分自身の、たった一度しかない人生を、どれだけ楽しい思い出がつくれるか。コロナは、真の豊かさとは何かを働く者に目覚めさせた、大きなきっかけになったんです」

「淡路島を地中海にあるようなリゾートに」

 それが東京ではないとしても、なぜ淡路島なのだろうか。

 パソナの本社は、地価の高い東京・大手町にある。本社を縮小させれば、コストは浮く。狙いはコスト削減なのか。

 「東京のオフィスは高いですね。淡路島は想像を絶する安さ。坪単価4万円だった賃料がここでは5000円くらい。10分の1ですよ」
 ちなみに、社員の家賃は5分の1ほどになったという。浮いたコストは社員に還元するのだろうか。

 「でも、別の経費がかかる。ここでは車がないと生活できないから、車のリース代に補助金を出している」

 予想外の言葉が出た。

 「僕は淡路島を地中海(リゾート)にしたいんです。今は農道を軽自動車で走っている人が多い。でも、地中海のように住んでいる人に豊かな暮らしをしてほしい。オープンカーやスポーツカーに乗るように。だから、高級車や電気自動車に乗れば追加の補助金を出すことも考えています」

 地中海、オープンカー…… それに補助金とは…… 南部代表が、少年のように目を輝かせて続ける。

 「淡路島は東京23区やシンガポールとほぼ同じ大きさ。自然豊かで食べ物はおいしく、住環境もいい。兵庫県立淡路医療センターもあり医療も進んでいる。さらにこれからは教育も充実させます」

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「中高生の子供を抱えた社員も“来たい”」

 南部代表は当初、移住希望者は独身が多いだろうと予想していたという。しかしふたを開けてみると、子供を淡路島で育てたいという子育て世代の立候補者が多かった。

 「だから、10月に開設した新オフィスには学童保育も併設予定です。中高生を抱えた社員も来たいと言っているので、淡路島にある私立中高に教室を増やすよう要望するつもり。予備校やインターナショナルスクールも誘致したい」

 なるほど。現実的な話になってきた。次々と南部代表の事業構想アイデアが披露される。けれど、すでにパソナは淡路島で大型のレストランやテーマパークを運営しており、一部では「パソナアイランド」とも呼ばれている。これ以上規模を広げれば、地元住民から戸惑う声が出るのではないか。そう切り込んでみた。

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島流しでなく「心の黒字」 パソナの子育て世代含む1200人が淡路島に移住する理由


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〈記事と写真〉今村茜

2006年毎日新聞社入社。福島支局や経済部を経て、19年にはジャンルなく記事化する「統合デジタル取材センター」でビジネスや働き方をテーマに取材を進める。自ら子連れでワーケーションを体験したルポ記事の執筆を契機に、リモートワークやワーケーションを中心とした新しい働き方を支援する新規事業「Next Style Lab」を社内で立ち上げる。この4月からは新規事業開発とオープンイノベーションの推進を目的とした「毎日みらい創造ラボ」で、新事業の本格展開を準備中。3児の母として、ライフイベントを楽しみながらキャリアアップできる道を公私ともに探っている。