【AR】米ナイアンティックが技術を外部提供 ゲーム開発会社とコラボで収益強化

【サンフランシスコで長野宏美】世界でヒットしたスマートフォン向けアプリ「ポケモンGO(ゴー)」の開発で知られる米ナイアンティックは、拡張現実(AR)の技術基盤を、外部のゲーム開発者に提供することを明らかにした。「今年後半に何組かを選ぶ」方針だ。優れたアイデアを持つ企業などにゲーム開発を任せ、協業で収益を得る狙いで、斬新なゲームの誕生も期待できそうだ。

 同社は6月27日の記者説明会で、スマホ画面に映った現実の映像に、アニメのキャラクターなどを自然な形で重ねる新技術を公表した。カメラと全地球測位システム(GPS)により周囲の景色や位置関係をコンピューターで認識。そこに二次元キャラクターのコンピューターグラフィックス(CG)画像などを取り込む。ポケモンGOでも採用された技術だが、より自然な表示が可能になった。

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キャプションの入力ジョン・ハンケCEO=ナイアンティック提供

 例えばポケモンのキャラクター、ピカチュウは、これまでは実際の樹木や人の足などの映像の上に重なって表示されたが、新技術では障害物を避けて通ったり、柱に隠れたりするように表示され、自然さが増した。

 他にも端末同士で直接通信し、複数の利用者が同じゲームを、タイミングがずれることなく楽しめる技術も開発した。

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新技術を使ったゲーム案も公表された。複数がデータを共有しながら遊べる=米サンフランシスコで、長野宏美撮影

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 ナイアンティックは、提携する企業・開発者を公募で選び、これらの技術基盤を提供してゲームソフトなどの開発を促す。具体的な収益化の方法を明らかにしていないが、米グーグルやアマゾン、楽天など、自社の独自技術や事業インフラをプラットフォーム(基盤)として外部に開放し、利用料などを得る事業モデルは世界で広がっており、同様の仕組みで収益を確保する狙いがあるとみられる。

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ナイアンティックが公開した、開発名「Neon(ネオン)」という名称がついたゲーム案の動画。スマホ画面を通して映った光の球を相手に当てる対戦型ゲームで、複数の人が同時に遅延なくスマホ上のデータを共有し、走りながら遊べる=ナイアンティックが公開したユーチューブ動画から

 ナイアンティックはグーグルの地図事業のチームから2015年に独立。現実の世界を歩きキャラクターを集める「ポケモンGO」を開発し、爆発的な人気となった。

 ジョン・ハンケ最高経営責任者(CEO)は「最新のAR技術には大きな可能性がある。第三者にプラットフォームを使ってもらい、現実世界とデジタル世界をつなぎ、これまでにない体験をもたらしてほしい」と語る。

キーワード「AR」

 スマートフォンなどの内蔵カメラが映し出す現実世界の画像に、文字やイラスト、動画といったデジタル情報を重ね合わせる技術で、英語のオーグメンテッドリアリティーの略。津波や火災を疑似体験できる防災教育や、観光地案内、広告など、ゲーム以外にもさまざまな用途での導入が進んでいる。

 仮想のCG映像などを現実の空間のように体験させるバーチャルリアリティー(VR=仮想現実)とともに市場は拡大している。IT(情報技術)専門調査会社IDCによると、AR・VRの関連機器やソフトへの支出額は2017年の140億ドルから18年は270億ドル、22年には2087億ドルと高い成長が見込まれる。