5期DEMO DAY開催報告:オンライン音楽指導のNOIABがグランプリ&特別賞をダブル受賞!

【文・大坂和也/構成・中島和哉】

毎日新聞社、メディアドゥ、ブロードバンドタワーの3社が設立する「株式会社毎日みらい創造ラボ」は6月23日、第5期のシード・アクセラレーション(起業家支援)プログラムを受講した4チームとオブザーバー1社による3カ月の成果報告会「DEMO DAY」を全面オンラインで開催しました。
 審査員採点と視聴者投票による今期のグランプリには、動画とチャットでプロ音楽家の楽器個別指導が受けられるサービスを開発する「株式会社NOIAB」(ノイア、川村北斗代表)が輝きました!協賛の「フューチャー株式会社」より賞金に加え、「株式会社銀座テーラーグループ」より高級スーツのお仕立券が贈られました。(プレゼンター:株式会社フューチャー Strategic AI Group ビジネスデザインディレクター 井上拓様、株式会社銀座テーラーグループ代表取締役会長 鰐淵美恵子様)
 第4期から協賛いただく「株式会社アガルート」による特別賞(アガルート賞)は、第5期オブザーバーとして当日登壇した「VALT JAPAN株式会社」(ヴァルトジャパン)のほか、事前収録に応じた第4期4チームのプレゼンテーションを含めた全9チームが対象となりましたが、こちらもグランプリを獲得したNOIABが選ばれました。(プレゼンター:株式会社アガルート代表取締役社長 岩崎北斗様)


フューチャー株式会社 Strategic AI Group ビジネスデザインディレクター 
井上拓様よりNOIABに贈呈


株式会社銀座テーラーグループ代表取締役会長・鰐淵美恵子様よりNOAIBに高級スーツお仕立て券が贈呈


株式会社アガルート代表取締役社長・岩崎北斗様よりNOAIBに贈呈

NOIABの川村北斗代表は「5G、VR・ARなど新しいテクノロジーが主流となった時に対応できるよう、着実にポジションを取っていきたい」と意気込みを語りました。

第5期の採択チームは、NOIABのほか、飲食店を空き時間を活用して料理が得意な人をつなぐサービス「smallkitchens」を提供する「株式会社Gifukuru(ギフクル)」▽伝統文化・手仕事に特化した体験型旅行プラットフォーム「CRAFTRIP」を提供する「myProduct株式会社(マイプロダクト)」▽街のポイ捨て・路上ごみゼロを目指す広告付きゴミ箱と市民らを巻き込んだ早期回収の仕組みの構築を目指す「株式会社Gab(ガブ)」▽精神疾患などの休職経験者と起業を繋ぐ相談マッチング支援サービスを開発する「mestiii(メスティー)」(旧コムデフィル)――の計5チーム。12月から3カ月超にわたり、実業家・起業家から助言を受けながら事業アイデアをブラッシュアップしてきました。


 他方、DEMO DAYではmestiiiが登壇を見送ったため、4チームによりグランプリが競われました。新型コロナウイルス感染拡大防止のため3月の開催から延期をしていましたが、今般全面オンライン対応(ウェブ会議システム「Zoom」ウェビナー)での実施となりました。


毎日みらい創造ラボでは、既にプログラム第6期の募集を終え、7月1日からはプログラムがスタートします。第6期は募集からメンタリングまでの全面をオンライン運用に転じ、活動拠点を問わずにメンタリング支援を行える体制を整えました。シード/プレシード期で事業案の成長を加速させたい皆様を、今後も力強く支援してまいります!

各チームのプレゼンテーションの要旨は以下の通りです。

株式会社Gab(山内萌斗代表)
 最初に登壇したのは、Gabの山内萌斗代表。ポイ捨てをゼロにすることを目指し、「誰もが利用する」という利点を生かした広告付きゴミ箱の事業を行うと語りました。
 山内代表は、街頭のゴミ箱の少なさがポイ捨てにつながり、プラスチックごみによる海洋汚染も招いていると指摘。ポイ捨ての多い場所を分析し、渋谷センター街などの1エリアごとに、通常の街頭広告より安い50個の広告付きゴミ箱を設置するビジネスモデルを展開することで、広告主からの収益をゴミ箱設置店舗などに還元することが可能だと話しました。現在、街のゴミデータマッピングサービス「MyGOMI.」を運用中。



■株式会社NOIAB(川村北斗代表)
 NOIABの川村代表は「だれでも、どこでも、いつでもオンラインの音楽学校」をコンセプトに、今年5月、プロ音楽家のレッスンや練習指導をチャットや動画で受けられるサービスアプリ「NOIAB」を開始したと説明。
 プロ音楽家の知見のデータベース化し、時間も費用も掛けずに楽器が習得できる動画学習のサービスを展開することや、各サービスのデータを活用した個人に最適な学習方法の提案を行う構想を述べ、「音楽技術の継承方法を進化させる。インターネットを通じて、誰でも天才的な知見にアクセスできるようにしたい」と語りました。


■myProduct株式会社(小山翔代表)
 続いて登壇したmyProductの小山翔代表は、日本の地場産業の担い手と、「地域の奥深さに触れたい」と考える国内観光客やインバウンドをつなぐ、地域の地場産業に特化した体験型観光プラットフォーム「CRAFTRIP」により、地域の眠れる魅力を引き出したいとプレゼンしました。
 CRAFTRIPでは、農山村に泊まってその暮らしを体験する「農泊」、鉄道や地方自治体、観光協会などと連携しながら、地域に社員が常駐してユニークな観光体験プランづくりに取り組みます。また、ふるさと納税の運営受託を受けることにより、CRAFTRIPの事業を通して地方の市町村にも寄付が得られる仕組みをつくりたいと話しました。


■株式会社Gifukuru(箕浦恒典代表)
 採択チームの発表の最後を飾ったのは、Gifukuruの箕浦恒典代表です。飲食店と料理の作り手、そして消費者をつなぐ、固定の店舗も料理人も持たないプラットフォーム型飲食店「smallKitchens」を運営しています。
 初期費用を抑えて営業許可済みの厨房を使えることで、手料理を広く提供したい人々が少ないリスクで出店できることを特長としています。現在は新型コロナウイルス感染防止の観点から弁当販売を中心にしていますが、購入者の8~9割がリピーターであることをアピール。直近でも都内数カ所の飲食店での展開が予定され、専用のアプリ開発などを経て、将来的には全国展開していきたいと語りました。


■VALT JAPAN株式会社(小野貴也代表)
 VALT JAPANの小野貴也代表は、働く意思を持つ障害者に、経済的な戦力として活躍してもらうことを目指した事業を紹介しました。多くの企業などから発注を受け、障害者の手元に仕事を届けることで、障害者の収入増の大幅な後押しに加え、労働人口減少の解決に寄与すると語りました。
 また、障害者の健康状態と仕事ぶりの相関の可視化による健康と仕事の両立支援も行うと述べました。導入している自治体では、障害者の新しい業務への意欲向上につながっており、14自治体と連携協定の協議が進んでいるということです。医大との共同研究も実現する予定で、「医学的根拠に基づいて社会的就労困難者の問題を抜本的に解決したい」と意欲を語りました。



全チームの発表を受け、ラボ設立3社の社長陣から講評をいただきました。

丸山昌宏・毎日新聞社代表取締役社長
 コロナウイルスの影響でDEMO DAYが延期となりモチベーションも下がっているかと危惧していたが、戦略を更に高めて挑戦する皆さんの気持ちがひしひしと伝わった。世の中では色々なことが起きるが、自分の決めた目標を変えずに信じて、挑戦し続けることが重要だ。皆さんが大きく発展されることを祈る。



藤田恭嗣・株式会社メディアドゥ代表取締役社長CEO
 事業戦略が明確になると、様々な課題が見えてくる。事業の利益を上げながらコストを抑えるバランスを取る経営感覚は、事業展開する中で非常に重要なので、頑張っていただきたい。起業家仲間を作り、成功のために一歩でも前進してほしい。



藤原洋・ブロードバンドタワー代表取締役会長兼社長CEO
 皆さんが共通しているのは、社会課題の解決がモチベーションとなっていること。収益性のあるビジネスモデルを実現するには、テクノロジーが必要となる。社会課題の解決、収益性、テクノロジーの三つを揃え、コロナショックを乗り越えて事業を発展させてほしい。

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